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SOU-JR総持寺駅アートプロジェクト 第4回展示「時の戯れ」

終了しました

会場:JR総持寺駅構内自由通路(大阪)

SOU第4回展示は「時」にまつわるものをテーマにします。多くのアーティストは様々な「時」について表現をします。
瞬間の感情について、二度と体験できない記憶について、多くの物語について、変わることのない永遠について。作家はそれらを描写し、変容させ、新たな創造を試みます。「時」を見つめ、歓び、憂い、願い、戯れることから作品は生まれます。それは誰もが持っているかもしれない、今流れている時間を戻したり止めたりすることへの願いかもしれません。今回は様々な視点での「時」への関わり方を読み解いていきます。
第4回目の展示は、安田知司さん・濱中徹さん・髙倉大輔さん・松井智惠さんの4作品を紹介します。

 

SOU(ソウ)ーJR総持寺駅アートプロジェクトは、2018年3月JR総持寺駅開業とともに、生活の中でアートに出会う環境をつくり、アートを知るきっかけの場になればという思いから立ち上げられました。
高さ2.6mの自由通路壁面に、有名・無名、地域・年齢に関わらず様々な作家の作品を大型プリントにして展示し、絵画や写真、現代アートや児童画など多様な作品を紹介します。
展示は約半年ごとに入れ替えを行い、継続するアートプロジェクトを目指します。

日程

2019年9月29日(日)-2020年3月末

会場

JR総持寺駅構内自由通路(大阪)

大阪府茨木市庄一丁目​28番55号

アクセス

JR東海道本線(京都線)「JR総持寺駅​​」下車
阪急電車京都線「総持寺駅」下車、徒歩約11分
近鉄バス 73・74番「JR総持寺駅停留所」下車
​国道171号線西河原交差点、南へ約600m

参加作家

安田 知司 やすだともし
1985年 北海道小樽市生まれ
2008年 京都嵯峨芸術大学(現・嵯峨美術大学) 芸術学部 造形学科 油画分野 卒業

2019年 U know they mean うのぜみ2019/Steps gallery/東京
2019年 現代洋画「てくてく」展 vol.7/Art Space MEISEI/京都
2018年 シェル美術賞展/国立新美術館/東京
2018年 oil skin -細かいほどによく見える-/京都精華大学 kara-S/京都
2018年 ARTISTS’ FAIR KYOTO 2018 京都アートラウンジ/HOTEL ANTEROOM KYOTO/京都
2017年 淀 × ハイデンバン/STUDIO HAIDENBAN/京都
2015年 Solo exbihition -Defender-/STUDIO SOARING BIRDS/京都
2008年 one room 3/元立誠小学校/京都

安田知司さん(やすだともし・1985年生まれ)のモザイク状の作品は、一見すると何が描かれているのかわかりません。しかし離れてみると次第にあるイメージが浮かび上がってきます。作者は意図的に認識することの境界線を生み出し、鑑賞者にその境界線を横断させます。「みる」から「みえる」までの時間経過を楽しませてくれる安田さんの作品は、普段は無意識に行っている「見る」「視る」「観る」といった行為を改めて意識させてくれます。
安田さんは語ります。「色面構成から浮かび上がる風景と、それを見せる事を妨げるように表面に塗られた筆跡、色面単体の存在がせめぎ合い、何を見ているのか分からなくなる。見ることは目の前にあるイメージと経験から思い起こされる記憶が繋がり、はじめて認識できる。その一連の過程を揺さぶる事は、リアルが曖昧な世の中に必要だと思う。」 



濱中 徹 はまなかとおる
1948年生まれ 京都在住

2018年 共生の芸術祭「Hello World」/イオンモール京都桂川/京都
2018年 道ばたで見つけた ちいさないきもの/art space co-jin/京都

濱中徹さん(はまなかとおる・1948年生まれ)の作品は絵を描くための筆記具、おもちゃのコマ、カメラ、時計などこだわりのある大切なモノに囲まれながら制作します。
濱中さんは作品について「絵の真ん中の鉱石ラジオからかすかに聞こえてくる歌を、カエルや草が寄り添って聞いている姿を描いています。赤いところがチャンネル、銀色のところがアンテナです。」と語ります。
人と自然・物が共存するための距離感を示すかのようにモチーフと空間が心地よいバランスで描かれ、大切なモノを愉しむ濱中さんのユニークなモチーフの背景には、遠い記憶に基づくイメージが生成される時間の厚みが内包されています。
丁寧に観察し、濱中さんの視点で描かれたリズミカルな形と優しい色合いは詩や歌をも感じさせ、ひと時ひと時を慈しむ心を教えてくれているようです。そこにはふと昔を懐かしむような安心感や、ゆるやかな「時の記憶」を思い出させてくれます。



髙倉 大輔 たかくらだいすけ
1980年生まれ 東京在住
2002年 立教大学法学部法学科卒業

2019年 「clerestory」 /TEZUKAYAMA GALLERY/大阪
2018年 fotofever/ Carrousel du Louvre/パリ
2016年 「monodramatic/loose polyhedoron」/TEZUKAYAMA GALLERY/大阪
2015年 「Brave New World」 /DOX /プラハ

髙倉大輔さん(たかくらだいすけ・1980年生まれ)の作品は、ある瞬間を切り取ったような場面を写真に定着させているように見えますが、実はとても時間をかけ入念に構成された作品です。一人の役者を何パターンも撮影し、それらを合成してひとつの場面を作り上げます。
作者は、「私は過去の演劇活動の経験をベースに写真作品を制作しています。代表シリーズの”monodramatic”は一人芝居をモチーフに、人間が持つ多面性や多様性、可能性、そこに生まれる物語を描く作品シリーズです。その中の一作品”magic hour”は、映画という魔法の光の中で沢山の自分が解放される一人の女性を描いています。」と説明します。
髙倉さんは人の持つ感情や記憶を翻訳し、新たな場面を生み出します。それはどこにもない、ある「時間」を創造することではないでしょうか。 



松井 智惠 まついちえ
1960年 大阪生まれ
1984年 京都市立芸術大学大学院修了

2019年 「青蓮丸、西へ」/MEM/東京
2017年 「Picture -絵の仲間-」/ MEM/東京
2014年 「a story - とんがり山」/ギャラリーノマル/大阪
2014年 「一枚さん」/ MEM/東京
2014年 「平成26年春の有隣荘特別公開 松井智恵・『プルシャ』」/有隣荘/倉敷
2005年 「横浜トリエンナーレ」/横浜美術館/神奈川
1990年 「ヴェネチア ビエンナーレ アペルト90」/ヴェニス/イタリア

松井智惠さん(まついちえ・1960年生まれ)は80年代からインスタレーションや映像作品を制作してきました。またそれらと並行してドローイング作品を継続して制作しています。
「絵を見た友人の言葉が鍵になり、物語はほろほろと生まれた。出品作は下書きでもないし、完成された一枚の絵でもない。物語に近く、独立してしまった絵である。小さな絵を日々一枚描いてSNSに出して8年。自他共に娯楽場所になればと始めた。漠然とした1日の空間の中で、今日も小さな紙を茶ぶ台の上に置き、身近な画材を選ぶ。」と作家は語ります。
松井さんの淡く儚いドローイングは大きな時間の一断面として生まれ、そして新たな物語の起点となります。日常的に描かれる一枚の絵は、昨日(過去)・今日(現在)・明日(未来)へとつながる時の流れを想像させ、何度も読んだ絵本のように見るたびに違うイメージが浮かび自由な世界を広げます。 

主催

茨木市