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キュレーションを公平(フェア)に拡張する vol.1「私はなぜ古谷渉を選んだのか」

終了しました

会場:HAPS HOUSE(京都)

障害者等の関わる文化芸術活動は近年大きく発展してきました。美術館やコンサートホールなどで彼ら・彼女らの作品に接する機会も珍しいものではなくなっています。とはいえ、そこには「棲み分け」があり、障害者らによるアートは良くも悪くも特別なものとされています。肯定的な反面、その背後には差別や排除があるかもしれません。

本企画は現代美術、とりわけキュレーションの諸実践を通して、この状況に積極的に働きかけるものです。障害者らが天才かどうか、その作品が優れているかどうか、という議論を一旦留保し、キュレーション実践の積み重ねによって考えを進めること。そもそも「芸術家」や「作品」という概念、その良し悪しは、安定して存在しているのではなく、キュレーションの積み重ねによって、絶えず「実務的に」変更されてきたものです。気鋭の現代美術キュレーターによる展覧会制作を通して、小さな蹟きの一つ一つを確認し、着実に「開かれた、公平なアート」へと歩みを進めることが本企画の目指すものです。

一般社団法人HAPS

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古谷渉の作品にはじめて出会ったのは、2016年のポコラートの審査の時だった。それは物干し竿にかけられたタオルを描いたドローイングだったのだが、黒い模様が、タオルのそれなのか、それとも風になびくタオルの起伏に生まれた影を表現したものなのか、もし影だとしてなぜそれを濃厚に表現したのか、それとも単に技術が稚拙なだけなのか、わからないことだらけだった。でも、余白の取り方は他の作品も見てみたいと思うほどにうまく、それゆえ私は自分の名前を冠した賞に彼を選んだ。それから6年経った2022年、彼の自宅を訪れる機会があった。今描いているのは競走馬で、それを今度のポコラートの公募に出すのだと嬉しそうに語っていた。しかし彼は他にもたくさん描いていた。スケッチブックの中には「陰鬱さん」というキャラクターや、相撲取りの絵、絵がうまくなるために手掛けているヌードデッサンなど、さまざまなものがあった。この多様性、あるいはとりとめのなさは、いったいなにゆえなのか。それを判断できる人はいるのか。彼の個展をするとしたら、そのキュレーターはなにをどうすべきなのか。そんなことを考えていたところにHAPSからの連絡があって、この展覧会に至る。

(保坂健二朗)

日程

2023年1月7日(土)–1月29日(日)

会期中の金・土・日・祝のみオープン

11:00-19:00

※入場は18:30まで

会場

HAPS HOUSE(京都)

〒601-8004 京都市南区東九条東山王町1

アクセス

※駐車場、駐輪場はありません。来場には公共交通機関をご利用ください。

アーティストプロフィール

古谷渉(ふるたに わたる)
1974年生まれ。東京都在住。幼少から変わっているのかいじめられ自信を失い病がありつつも2010年頃から絵を描き始める事で今にいたる。 ポコラート全国公募Vol.6(2016年)にて保坂健二朗賞を受賞。

料金

入場料:無料

関連企画

ゲストキュレーターによるトーク

日時:2023年1月13日(金)/1月27日(金) 各回とも19:00-20:00
定員:各回10名 ※要申込 
会場:HAPS HOUSE
申込はトークの詳細は、下記「詳細を見る」よりご確認ください。

お問い合わせ

一般社団法人HAPS
Eメール:info@haps-kyoto.com
TEL:075-525-7525
FAX:075-525-7522

主催

文化庁/一般社団法人HAPS