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Co-pic

終了しました

会場:art space co-jin

山口慧太郎にとってレンズは外の世界を見るための窓ではなく、シャッターを押す時に左手をかけるためのちょうどよい突起物である。井口直人は2色に設定したコピー機で、自身の顔を複写する衝撃的な行為を20年あまり続けている。思い出のある写真が朽ちた古写真のように変化するのは、杉浦篤が深く愛でるように触れるから。幼少の頃からカメラを手にして日常を切り取ってきた中田啓瑛は、日々自身のファッションを記録している。米田祐二の写真は日々の暮らしの中での視点を映し出すが、撮影からはじまる一連の工程が他者とのコミュニケーションの重要な手段となっている。

本展ではart space co-jin+picture=「Co-pic」と題し、上記5名の営為の中から、写真を通して生じた独自で多彩な世界を紹介する。そこでは「表現」や「作品」といった枠組みでは捉えきれない景色が広がる。

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作品リスト

日程

2024年4月12日(金)–6月23日(日)

月曜休廊

10:00-18:00

会場

art space co-jin

出展作家

井口直人
杉浦篤
中田啓瑛
山口慧太郎
米田祐二

出展作品

井口直人《無題》(2018)364×257mm 紙、複写機
杉浦篤 題名なし(制作年不詳)サイズ可変 カラー印画紙
中田啓瑛《無題》(2021)サイズ可変 カラー印画紙
山口慧太郎《手がかり 手袋》(2020)サイズ可変 カラー印画紙
米田祐二《無題》(制作年不詳)サイズ可変 カラー印画紙

プロフィール

井口直人(いぐち・なおと)

1971年生まれ、愛知県在住
所属:社会福祉法人さふらん会 さふらん生活園
行きつけのコンビニや通所する施設のコピー機を使い、自身の顔と空き缶の応募シールなどその時に気になったものを写し取る記録を1日に3回行なっている。職員との遊びからはじまったこの活動は、試行錯誤を繰り返しながら約20年あまり続いており、現在では地域の日常の光景として周知を得るようになった。最近では井口のライフワークは芸術分野だけでなく様々な業種との交流にも拡がりを見せている。本展では2色×2回のコピーを施した作品や、母と共同で創作して特定の人にプレゼントする「腕章タイプ」のコラージュ、出力した紙を道路に置いて車の風圧で舞い上がる様子を見て楽しむ、通称「風ぇー!」シリーズを公開した。

杉浦篤(すぎうら・あつし)

1970年生まれ、埼玉県在住
所属:社会福祉法人みぬま福祉会 工房集
杉浦は気に入った写真の思い出をひとつひとつ確かめるように触り続けている。ゆえに物質的に徐々に擦り切れ薄れていくことになる。夕食後や朝食前のリラックスできる時間に、自室の引き出しやベッド脇の棚に置いてある写真の中から気に入ったものを選び、それらに触れて過ごす。彼にとって、とても大切な時間であるその行為の積み重ねによって、彼のプライベートな思い出の写真は風化して私的なイメージを抽象化していく。同時に彼の行為を写真に定着させ、一つの表現として他者と共感可能なものへと変化する。また、杉浦と写真という私的な関係性の成り立ちには、「彼が大事にしていること」を尊重し、見守り続けた職員たちとの営為が意義深くある。

中田啓瑛(なかた・けいよう)

2001年生まれ、徳島県在住
6歳のころ、保育園の園長先生に使い捨てカメラの撮り方を教わったのを契機に写真を始めた。母のデジタルカメラを使うようになり、大切な人たちの日常の暮らしに佇む様々な風景を撮り溜めている。中田の写真の持ち味は、時間を切り取られた人の表情や土地、建造物や景色などに宿っている物語が自然と流れ出ることにある。彼は建物の間に入ったり縁の下に潜り込んだりして、そこからのアングルを「スキマの世界」と呼んだ。幼少より母の仕事のモデルをしてきたこともあり、現在も毎朝仕事に行く前に、その日のファッションの撮影をしている。自作の作品集からは、日々写真という媒体を通して培われてきた親子の豊かな物語を読み解くことができる。

山口慧太郎(やまぐち・けいたろう)

2000年生まれ、京都市在住
所属:一般社団法人ヴァリアスコネクションズ ツナガリの福祉所
通所する施設で2019年からドローイングと共にデジタルカメラを使った写真撮影を始めた。レンズを左手で覆うように持つのが山口の撮影スタイル。延びたレンズは手をかけるのにちょうど良い突起物である。歩きながら、液晶モニターが映す山口の指を含んだ景色を眺めつつ、シャッターを押す。撮影された写真《手がかり》は、何か対象を捉えるのではなく、操作音や感触も含めた行為を楽しんだ痕跡である。その写真が淡く柔らかな赤みを帯びているのは、太陽の光が手を透かしたからで、一方の暗いグレーの画面は手がその光を遮ったため。ゆびさきが醸し出す色模様は、今ここに山口の確かな存在を知らせてくれるセルフポートレートとも言える。

米田祐二(よねだ・ゆうじ)

1991年生まれ、京都府八幡市在住
小学校高学年の頃より母の携帯電話で写真を撮りはじめた米田は、中学3年生の時にデジタルカメラで本格的に写真を撮り始めた。近所の高架下、毎日の食事、季節の草花、夜空に浮かぶ月など、日々の暮らしの中での彼の視点が映し出されている。また単なる視覚的な表現手段ではなく、「未知なるもの」を他者に伝えるための重要な手段にもなっている。ただし情報の共有だけが写真の役割ではなく、緻密な構図や対象の個数、形象、色彩、時間や動き、撮影の技術、データの管理などが生態系のような繋がりをしている点に米田の写真の本質的な要素がある。「未知なるもの」との関係性に満ちた語り尽くせない世界が広がっている。

料金

無料

主催

きょうと障害者文化芸術推進機構 art space co-jin

協力

社会福祉法人 さふらん会 さふらん生活園、社会福祉法人 みぬま福祉会 工房集、一般社団法人 ヴァリアスコネクションズ ツナガリの福祉所

展示の記録

「Co-pic」展示紹介映像
外観風景
展示風景
展示風景
展示風景
展示風景